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『ISHIN STARTUP SUMMIT 2017』連動特別企画 連続インタビュー第2回

学生がVCとして学生起業家を支援 スタートアップ輩出の基盤となる

シンガポール経営大学リー・コン・チアン経営学院
イノベーション&アントレプレナーシップ研究所 所長 コー・フー・ハウ
コー・フー・ハウ

2017年12月6日に開催される『ISHIN STARTUP SUMMIT 2017』。東南アジアのスタートアップと日本企業のリアルな出会いをサポートするイベントです。本サイトを運営するイシンシンガポール株式会社と、シンガポール経営大学リー・コン・チアン経営学院(以下、SMU LKCSB)のイノベーション&アントレプレナーシップ研究所(以下、IIE※)とが共催します。そこでイベントに先駆け、2回にわたってSMU LKCSB、そしてIIEの責任者にインタビュー。日本のスタートアップ・エコシステムにかかわる人たちにメッセージを寄せてもらいました

※IIE
さまざまなイベントやコンテスト、研修プログラム、研究活動、インターンシップ、起業支援プログラム等を通じて、SMUエコシステムにイノベーションと起業のマインドを醸成することを目的としてSMUに置かれている研究所。

第2回目はSMU IIEのコー・フー・ハウ所長にインタビュー。SMUにおけるイノベーションと起業のマインド育成について、SMU IIEの役割をお聞きしました。

―コー・フー・ハウ所長、今日はお忙しい中、有難うございます。はじめに、IIEの目標とビジョンを詳しく教えてください。

IIE は、SMUをその中心としてイノベーション・エコシステムを育成する、実践志向型の研究機関です。IIEが目指す姿は次の3つです。①イノベーションと起業の精神育成を目的とするトップレベルの研修センター②大学を基盤とする地域トップレベルのインキュベーター/アクセラレーター③官民学の協働により、イノベーションと起業のためのコミュニティを実現する、信頼できる会議プラットフォームの構築──です。

―先日、LCKSBのジェリー・ジョージ学部長から起業家精神はSMUの教育の柱となっているとお伺いしました。SMUが起業家精神を育むカリキュラムを形成する過程でIIEがどのように関わったのか、お聞かせください。

IIEはSMUの全6学部にわたって起業家支援構造の確立と強化を担っています。2017年、SMUの起業家研修プログラム(EIP)の学生37名がアメリカ、ベルギー、デンマーク、スイス、インドネシアの立ち上がったばかりのベンチャー企業で起業について学び、実習生として働くのをIIEが支援しました。また、7名の学生が韓国で開催された「アジアユース起業家精神プログラム」に参加し、台湾、香港、韓国の学生らと共に1週間にわたって、科学技術分野の起業をテーマに異文化交流を体験しました。

さらに、IIEはSMUに在籍する潜在力の高い学生起業家およびスタートアップに焦点を当て、支援を行っています。「SMUビジネスイノベーション・ジェネレーター(SMU BIG)」と呼ばれるプログラムでは、コワーキングスペースを提供すると共に、支援するスタートアップに対して貴重な業界専門知識を授けるメンター制度を設けており、起業家とスタートアップを応援しています。また、学生、卒業生、さらには一般市民によるスタートアップを結集させることにより、SMUを優れた人材とアイデアの拠点にし、活気に満ちた起業家コミュニティの創出を目指しています。

長期的には、一般市民そして地域全体にIIEの支援を広げていきたいと考えています。そのためには、起業家精神に満ちた他の大学や優秀な民間専門家、政府機関との戦略的パートナーシップを活用していくつもりです。

―カリキュラム設計やスタートアップ支援以外にも、IIEの活動には「プロテジェ・ベンチャー」というプログラムがあり、そのユニークさで注目を集めているそうですね。このプログラムについても教えていただけますか。また、IIEの取り組みから生まれた面白いスタートアップがあれば教えてください。

IIEではイノベーションと起業の精神を体験する研修プログラムを採り入れています。先に述べた起業家研修プログラム(EIP)もその1つで、「プロテジェ・ベンチャー」もそうです。「プロテジェ・ベンチャー」は東南アジアで最初の、学生によるベンチャーキャピタル(VC)ですが、学生はVCの一員として、東南アジアの学生によるスタートアップを探し、資金を提供するという実践を通じ学んでいきます。

また、ビジネスイノベーション・ジェネレーター(BIG)も数年間にわたって成功を収めています。支援したスタートアップには、地域メディアテクノロジー企業のTech in Asiaも含まれています。また今年、BIGから巣立ったスタートアップのHomageは、オンデマンドの高齢者向け介護サービス事業をシンガポール国内で拡大するため、120万USドルを調達することに成功しました。

最後に、IIEは「リー・クアンユー・グローバルビジネスプラン・コンテスト(LKYGBPC)」をはじめとする権威あるコンテストプラットフォームを組織し、イノベーションと起業の精神に優れた若い人材を招集しています。LKYGBPCは、世界各国から集まった最も優秀な人材が業界リーダーと交流し、彼らの革新的なソリューションをさらに発展させるための指導を受けられる場となっています。2017年9月、世界のトップレベルの大学から36のスタートアップがシンガポールに集まり、それぞれが革新的な「スマートシティ」ソリューションを発表しました。

この2017年9月に初めて開催された「Slingshot @ SWITCH」コンテストで準優勝に輝いたスタートアップの1つが、2015年のLKYGBPC優勝者、Blitabです。シンガポール国立研究財団の「Singapore Week of Innovation & Technology (シンガポール・イノベーション・テクノロジー週間、SWITCH)」の一環として開催されたSlingshotは最も革新的なテクノロジー分野のスタートアップを探しています。Blitabは目の不自由な人向けのタブレット端末で、点字の読み書きをフルページの点字テキスト表示により世界最速レベルで行うことができ、価格が手ごろな次世代の多機能デバイスを実現しています。

―IIEやSMUの卒業生にそのような強い革新性を見ることができるのは、大変印象的ですね。IIEとの共催である『ISHIN STARTUP SUMMIT 2017』(ISS)がとても楽しみですが、ぜひ日本と東南アジアに革新性を広めていきたいですね。コー・フー所長が今年12月のISSで特に期待されていることはありますか。

日本の企業経営者の皆さんと、考えや経験を交換し合うことを楽しみにしています。それと同時にISSが、日本のスタートアップと東南アジア・エコシステムの企業の間で交流や協働を促す、事実上のプラットフォームになることを期待しています。

―最後に、コー・フー所長から日本企業に対してメッセージがありましたらお願いします。

シンガポールは、急速に成長を遂げている東南アジア市場への参入拠点となっています。日本の企業には、ぜひシンガポールを拠点に東南アジアに進出してもらいたいと思います。その時にはSMU とIIEが、東南アジア地域における情報支援パートナーとしてお手伝いできるかと思います。

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