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Panel discussion
『ISHIN STARTUP SUMMIT 2020』Panel discussion #4

コロナ禍で攻めに出るアジアのスタートアップ、「稼働を増やす」「BtoCに参入」…

2020年9月8日、Ishin Summit2020で開催されたパネルディスカッション「スタートアップ視点からみたwithコロナのスタートアップの変化(東南アジア・インド編)」。 シンガポール・マレーシアを中心にオンラインペットショップを運営する25 Holdings Pte. Ltd.Co-Founderの藤田 英輝氏、ベトナムで飲食業界を支援するKAMEREO INTERNATIONAL PTE. LTD.CEO & Co Founder田中 卓氏が新型コロナウイルスによる事業環境への影響を語った。

[スピーカー]
25 Holdings Pte. Ltd.
Co-Founder
藤田 英輝

KAMEREO INTERNATIONAL PTE. LTD.
CEO & Co Founder
田中 卓

[モデレーター]
IshinGroup
松浦 道生

コロナで事業の伸びや新規事業

松浦:Withコロナでスタートアップ企業はどう対応しているのかを伺えたらと思います。

藤田:2015年に設立し、オンラインペットショップを運営しています。JAFCO、GREEを経て東南アジアでベンチャーキャピタリストとして投資に関わり、2015年から自分たちで事業を立ち上げることにしました。

ペットと人間の生活をより密接にするというミッションを掲げ、シンガポールでPerromartというECを立ち上げ、日本でも自社ブランドの展開をしています。ペットが家族化している中で、人口に対する頭数の比率の大きさ、そこへの支出が伸びている領域です。2020年Q2はコロナの影響で大きく伸びています。

田中:クレディスイス証券を経て、ベトナムに移り、日本人経営のピザ屋Pizza 4P’sのCOOに就任し、店舗数は私の在籍した3年の間に1店舗から12店舗まで増え、現在は20店舗程度を運営しています。2018年に飲食店の抱える課題や非効率性を解決しようとKAMEREOを創業しました。

東南アジアは月額課金のビジネスモデルが成り立ちにくく、良いモノを安く買えることの方がより関心が高く課題の優先度が高いです。既存のサプライチェーンに中間業者が多いという問題を解決する為、生産者と直接契約をしてラストマイル配送も自社で担う等、サプライチェーンの効率化を目指しています。

もともとBtoBで事業は順調に伸びていたのですが、ベトナムではコロナによるロックダウンが早い段階であり、3~5月に大きく影響を受けました。結果的に、ロックダウンのおかげでベトナムは感染を抑え込むことができ、現状はコロナ前以上の水準に戻ってきております。また、コロナをきっかけにBtoC向けのオンラインスーパーマーケット事業も開始しました。現状のベトナムでは、ダナンのみ行動制限がありますが、他の都市は通常の生活に戻っています。

既存の課題を解決する起業

松浦:もともと、どのような経緯でそれぞれの事業を立ち上げたのでしょうか。

藤田:ペットありきで始めたわけではなく、事業を興す必要があると感じ、日々の生活の中で必需品となる商品は何かということを考えたときに、自分や創業メンバーも犬と生活をしており、この領域に入りました。設立当初は、毎月違うペットグッズやおやつをボックスに入れて販売するサブスクリプションのビジネスをはじめましたが、あまり売れませんでした。お客様と話しているとそのようなサブスクリプションよりも通常のフードのほうが売れると感じペットフードを中心として¥たEコマースをはじめました。

2016年の設立当初、オンラインペットショップは小さい会社はあるのですが、ラインナップは充実しておらず、オフラインの店舗がオンラインを持っているか、個人や副業でやっている人が多い印象でした。ペット関連のものはオフラインショップで買う人が多いのですが、商品は重いものが多いですし、店舗で販売されている商品数も限られているということで、徹底的にやろうということになりました。

配達まで自分たちでやるということにこだわり、シンプルにカスタマーサービスとロジ周りのオペレーションをしっかりやり、おかげさまでシンガポールではオンラインペットショップとしてはナンバー1になっています。

田中:昔から飲食店を起業したいと思っており、30歳までにと考えていたのですが、ベトナムで実際に飲食の経営に携わってみて、飲食店を自分でやるよりも、ベトナムでは課題の多い中小飲食店の困りごとを支援したいと思い、課題の緊急度の比較的高い仕入れの問題の解決から事業を開始しました。中小企業は借り入れ等が極めて難しい等の問題もあり、将来的には仕入れを支援する中で得たデータを素にファイナンスの課題も解決しあたいと考えています。
ベトナムの飲食店の仕入れでは、頼んでみないと値段が分からない、注文していたものが届かない、等の課題があるのですが、私たちのサービスでは、安定的に透明性高く商品を提供できるようにしています。

コロナでの変化をポジティブに

松浦:コロナの影響はどうですか。

藤田:コロナ前は競合が少ないこともあり、既存顧客の継続利用を中心に堅実な伸びをしていました。それがコロナで、シンガポールでサーキットブレーカーで店舗閉鎖などが決まりました。でもお店は閉まっても、ペットは毎日食べる必要がありますよね。

私たちにはどこまでアクセルを踏み込むかが問われて、倉庫でのオペレーションをそれまで1日8時間、週5日だったものを、1日24時間、週7日体制にしたり、在庫を一気に増やす判断をしました。それで非常に売上が伸びました。

同時に、コロナ禍で在宅の人が増え、ペットの存在がより近い関係になった側面があると思います。家の中でのインテリアやグッズが伸びました。

また人の採用の面では、人材の流動性が高まって、これまでアプローチできていなかった部長クラス以上の実績がある人の採用ができたという追い風もありました。

他に総合ECサイトがペット領域に進出して取り合いになっている側面はあります。ただ、米国でもペット専門型のEコマースが伸びていており、カスタマーサポートやプロダクトをきちんと説明していくといった地味な作業、そしてブランドを作っていくことで、専門型としての差別化を図っていきたいと思っています。

田中:ベトナムのコロナの影響は、今の所、短期で収まったという印象です。ベトナム人顧客が中心の飲食店についてはコロナ前の売り上げ水準に既に戻っており、観光客や出張客の割合が多かった飲食店が少し苦戦している側面はあります。ただ、コロナが直接的な理由で廃業した弊社の顧客企業は、今の所はありません。直近で残念ながら廃業してしまった店舗は、コロナが原因というよりも、それ以前から経営が厳しかった所にコロナが来てしまい、廃業の判断に至ったという印象です。

BtoB顧客はベトナム人の営業部隊が獲得していて、ローカルレストランが多く、1,2店舗しかない企業が中心で、ほとんどが5店舗以下です。顧客の変化で言えば、ロックダウンの営業休止の期間はあったものの、それを期にデリバリーを開始するなどの変化以外に大きな変化は無いと思います。

BtoBはロックダウンの時にかなり売上が落ち、何カ月続くか先が見えない状況でした。その為、1カ月という短い期間でBtoC事業のKameMartをローンチすることにし、毎週アップデートを繰り返しながら、改善、運営しています。

コロナをきっかけに始めたBtoC事業は順調に伸びていて、また今後コロナの波が再来しても、BtoBが落ちる反面、BtoCが伸びるので、事業ポートフォリオとしてより安定感が増したと考えています。

日本企業との協業は歓迎

松浦:日本企業との協業の可能性はありますか。

田中:日本企業は、生産拠点を多くベトナムに持っているので、そこでの商品を私たちが扱うこともできますし、PBの共同開発、飲食店やサプライヤの資金ニーズなど、メーカー、銀行・ファイナンス会社や商社等、幅広く組める可能性があると思います。

藤田:1つはペット向けの製品をお持ちの会社と提携していきたいです。日本の生産工場と組んで最近、猫向けのふりかけを出したのですが、シンガポールで手に入りづらい鰹節や鮪節を使っており、とても喜ばれています。ペット用のグッズやIOTなども含めて、広げて行けたらと思います。

もう1つは広くEコマース、それからマレーシアではオフラインショップも運営していますので、東南アジアでご一緒できることがあればお話させていただきたいと思います。今後、薬や保険なども広がりのある領域だと思います。

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